皮下1回注入法による指ブロックの有効性について

摘要

指尖部損傷などで指の麻酔をする場合,掌側の指神経2本の近くを狙って針を2回刺すことは常識的であり,なhの疑いもなく今まで行われてきた.しかし,患者の側からすればなるべく痛くない方法が一番であり,麻酔が1回の注射で済めばそれにこしたことはない.1990年Chiuは屈筋腺腱鞘内に麻酔薬を1回注入して指を麻酔する新たな方法(transthecal digital nerve block :経腱鞘的指ブロック)を紹介したが,それに対して翌年Harbisonは,麻酔薬を腱鞘内ではなく皮下に1回注入するだけでも同じような効果が得られることを指摘した.