LTE V2Xの端末間直接通信における自律無線リソース選択に関する検討

摘要

高度道路交通システム(ITS: Intelligent Transport Systems)のさらなる発展のため，LTE (Long Term Evolution)の通信規格に基づく LTE V2X (Vehicle to Everything)の利用に期待が集まっている.ここで，LTE V2Xとは，低遅延·高信頼の通信を車通信環境に提供するために，3GPP (Third Generation Partnership Project)においてRel.14として2017年3月にコア技術の仕様化が完了した通信技術を指す.LTE V2Xは，セルラー網の基地局との上下の回線を用いる基地局経由通信と，セルラー網を必ずしも必要とせず，端末（車両）間での直接のデータのやり取りをサポートした直接通信の両方をサポートする.本稿では，このうち直 接通信に注目し，端末が自律的に無線リソースを選択する場合のパケット衝突回避のメカニズムについて解説するとともに，高速道路を模擬した簡易な評価モデルにおいて道路の混雑度合を変化させたときの，当該リソース選択法のパケット到達率(非衝突率)を計算機シミュレーションにより評価する.