高周波数帯を用いた無線エントランスシステムにおける低相関指向性形成のためのアンテナ構成法

摘要

第5世代移動通信（5G）に向けて，ユーザの密集するエリアのトラヒックをMassive MIMO技術を用いてオフロードするスモールセル構成技術の検討が盛hに進められている．特に高SHF帯のスモールセルではセル半径が狭く，人の密集するストリートに密にスモールセル基地局（SBS）を配置することが予想される．著者らはこれらのSBSへのエントランス回線を無線化する検討をこれまで進めて来ており，エントランス基地局（EBS）とSBSに接続される中継局（RS）がビル屋上，壁面などの高所に見通しを確保して通信を行うシナリオの中で，見通し波が支配的な環境における見通し波を抽出する指向性制御技術を提案してきた．想定するシステムは周波数資源が潤沢なEバンド等が想定されるが，波長が短いEバンドの様な高周波数帯では，例えば1波長以下の素子間隔でHPA/LNA や移相器を伴う形でのアンテナ実装は困難であり，これらの実装上の物理的制約から素子間隔が広がると，想定外のグレーティングローブが現れ異なるRS間での相互与被干渉が問題となる．本稿では，これらのグレーティングローブを回避しながら，ビル壁面反射などの影響も低減し，高周波帯で実装可能で安定的な運用ができるアンテナ構成について報告する．