ダウンリンクMU-MIMOシステムにおけるユーザ間干渉を考慮した低演算量MIMOデコーダに関する一検討

摘要

高速無線Local Area Network （WLAN）規格IEEE 802.11acで採用されているMulti User Multiple Input Multiple Output （MU-MIMO）は，同時刻·同周波数に基地局から複数のユーザへ信号を伝送することができる技術として注目されている．MU-MIMOは各ユーザからフィードバックされたチャネル状態情報（Channel State Information: CSI）をもとにプリコーディング処理をすることで，ユーザ間干渉（Inter-user Interference: IUI）を除去している．しかし，CSIフィードバック遅延がある場合，正確なプリコーディング処理ができないためIUIが残る．システムの性能を上げるためには，受信機でIUIを考慮した信号推定をする必要がある．信号推定を行うMIMOデコーダの最適手法として，Maximum Likelihood Detection （MLD）がある．MLDには変調多値数や送信アンテナの増加に伴い，演算量が指数関数的に増加するという問題がある．本稿ではMU-MIMOシステムにおけるIUIを考慮したMLDの演算量削減法を提案する．提案手法は，干渉信号の推定では演算量削減法の1つであるK-best法を適用することで，送信信号の候補を効率よく絞り込みながら信号推定を行う．また，計算機シミュレーションの結果より，提案手法は高性能を維持しつつ，IUIを考慮したMLDの演算量を約90%以上削減できることを示す．