LTE-Advanced下りリンクにおけるアウターループしきい値制御を用いるAMCを適用した場合の4-by-2 MU-MIMOのユーザペア選択に関する実験評価

摘要

本稿では，OFDMAを用いるLTE-Advanced下りリンクにおいて，MMSE（Minimum Mean Square Error）に基づく適応ビームフォーミングによりユーザ間の相互干渉を抑圧する4-by-2マルチユーザ（MU：Multi-User）-MIMOの，ユーザペア選択がスループット特性に与える影響を室内実験により明らかにする．実験装置では，適応変調·チャネル符号化（AMC：Adaptive Modulation and Coding）における変調方式および符号化率（MCS：Modulation and Coding Scheme）選択に関して，ユーザ間の相互干渉に起因する受信SINR（Signal-to-Interference plus Noise power Ratio）の推定誤差の影響を補償するため，ACK （Acknowledgement）／NACK(Negative ACK）フィードバックに基づくアウターループしきい値制御を実装する．相関アンテナ構成シナリオを想定した室内実験結果より，アウターループしきい値制御を用いるAMCを適用する場合，平均受信SNR（Signal-to-Noise Power Ratio）が30dBにおいて，およそ1Gbpsのスループットを実現できることを示す．また，MU-MIMO伝送における適応ビームフォーミング利得を最大とするためには，空間領域のスケジューリングにおいてユーザ間の角度差が60°に近いユーザペア選択を行うことが有効であることを確認する．更に，適応ビームフォーミングによりユーザ間の相互干渉が十分に抑圧できていない場合においても，空間領域のスケジューリングにおいて，平均受信SNR差の大きいユーザペア選択を行うことにより，スループットを効果的に増大できることを明らかにする．