表面保護工を中心としたコンクリート構造物のアップグレード技術の現状と将来展望3．適用事例

摘要

コンクリートの表面被覆と一口に言っても，適用対象の構造物はきわめて多岐にわたる．また，構造物の劣化機構，構造物の環境条件（補修後は補修材料の環境条件），期待される耐用年数は構造物ごとに異なる．そのような条件の下で，数ある補修材料の中から適切な材料を選定し，適切な材料設計を行い，適切に施工を行うことは必ずしも容易なことではない．しかしながら，この3つの“適切”のうち一つでも欠けることがあれば，補修効果が得られないばかりか，逆に構造物の耐久性を低下させることにもなり得る．時間はかかっても，個別の経験を一つずつ積み上げていくことが着実な技術向上のためには必要である．本稿では，道路構造物，鉄道構造物および海洋構造物（港湾構造物）に適用された事例を紹介する．どのような材料が適用されたか，また，その結果どの程度の効果が得られているのかを示すものである．