スプリット·ホプキンソン棒型衝撃引張り試験法の検討

摘要

スプリット·ホプキンソン棒（Split Hopkinson Pressure Bar: SHPB）法は最も信頼性の高い衝撃試験法として圧縮，ねじり，曲げ変形などについて既に多くの研究が行われてきているが，最近では，薄板の衝撃特性を把握するための引張り試験法としても応用されている．SHPB法では，応力棒端での応力と速度を捉えることによって，試験片の応力，ひずみ，ひずみ速度を算出することから，応力棒端に試験片の変形領域が直接接する圧縮試験では，端面での摩擦効果を低減できれば，試験片の変形状況を的確に捉えることができる．これに対して，試験片の一部にゲージ部を設ける引張り試験においては，ゲージ部以外の領域の変形も考慮する必要があり，変形状況を明確に捉えることが必ずしも容易ではない．また，衝撃変形では変形初期に振動波形が観測されることが多く，その原因を把握して，材料特性として現れる降伏現象との明確な差異を明らかにすることが重要である．そこで，本研究では，応力ーひずみ関係が殆どひずみ速度に依存しないとされる7000系アルミニウム合金とひずみ速度依存性が比較的大きい鋼を用いて，衝撃引張試験における材料特性評価方法の問題点を明らかにすることを目的とする．