格子定数の不要な中性子応力測定法の実用材料への応用

摘要

本研究では，著者らにより提案された，無応力状態の格子定数が未知な材料に対する中性子応力測定法を，溶接材料の残留応力分布測定に応用した．その結果，得られた結論を以下に示す，（1）提案した方法により求めた無応力状態の格子定数分布は，実測した格子定数分布とほぼ一致した関係が得られた。 また，マルテンサイト変態による格子定数の増加の様子も、提案した方法により確認することができた．（2）提案した方法により求めた溶接材料の残留応力分布は，従来法により求めた残留応力分布とほぼ一致した関係が得られた．したがって，提案した方法により,複雑な三軸応力状態を含hだ試料においても，比較的精度良く残留応力状態を求められることが確認できた．本手法は，三軸応力評価において常に問題とされてきた,無応力状態の格子定数の精度に関する問題を解決す。 る一つの手段といえる。