予損傷を受けた結晶制御Ni基超合金中に生成されるセル状変質域の悪影響度低減化の試み--補修およびリコーティング技術のために--

摘要

本研究では，Ni基超合金単結晶材が実機稼働後の補修工程の一環として再熱処理やリコーティング処理を施された場合を想定し，そのプロセス中に起こり得る変質城の生成，それが高温疲労強度特性に及ぼす影響，その影響を低減させるための手法について検討した．また，変質域の存在を非破壊的に検出する手法についても検討した。 　 その結果，以下の知見を得た。 （1）CMSX-4に温で塑性変形をともなう予ひずみを導入した後．再熱処理を施すと，予ひずみを与えた領域を核として，セル状の変質域が形成される。 この変質蟻の形態は，再熱処理に依存して種々の様相を呈するが大なり小なり単結晶村本来の高湿疲労強度が著しく桟なわれる。 こめ悪影響は変質城が主応力と平行な方向に形成さねている場合においても例外ではない。（2）変質城生成による疲労強度特性低下防止策を模索するため。 粒界強化元素を添加する手法と，表面に露出した変質域をコーティング被膜により覆う手法の有効性を検討した。 前者の目的には,粒界強化元素が含まれない単結晶合金CMSX-4とそれが含まれる一方向凝泳短合金CM247LCの結果との比較試験に依った.その結乳粒界強化元素の添加が有効であることが強く示唆された．また，耐食コーティングによって変質域表面を覆う手法もある程度有効であることも確認された。 しかし，いづれの手法も十分とは言えず，今後の検討が強く望まれる.（3）変質域が初期の結晶方位とは異なる方位の領域を含むものであることに着目し,超音波法を用いて変質域を非破壊的に検出する手法について検討した。 その結乳変質域生成による超音波伝ば適度の変化や減衰特性の変化に注目すれば，材料表面あるいは内部に生成している変質域を非破壊的に検出できることを示した，　本研究の遂行に当たり，文部省科学研究費（基盤C、12650072）の援助を受けた。 超音波顕微鏡を用いた測定に際し．東京工業大学大学院　 井上裕嗣助教授の協力を頂いた。 ここに深甚なる謝意を表する。