炭素繊推強化エポキシ複合材料わ超音波減衰特性に対する実験的検討

摘要

ディジタル波形解析法を用いて，一方向炭素繊維強化エポキシ複合材料（CFRP）中を伝ばする超音波縦波および横波の減衰係数の周波数依存性を測定し,減衰特性に及ぼす繊維体積含有率の影響について詳しく検討した．また，一方向強化榔二加えて積層構成の異なるCFRPについて測定を行い．減衰特性の相違についても考察を加ぇた．本測定により，CFRPの超音波減衰係数は母材であるエポキシ樹脂の減衰係数よりも小さく仁繊維含有率珍増加とともに減少する傾向にあることが明らかとなつたまた，本研究では,方向強化材において繊維に垂直に転ばする超音波を対象として，縦波および,繊維に垂直あるいは平行方向に偏向した横波の減衰特性を調べた．その結果，横波は縦波に比較して顕著な減衰を生じることが確認された。 ただし，横波の偏向方向による減衰係数への影響については本測定の範囲では明瞭な差は認められなかった.　 さらに,筆者らの既報で報告した一方向CFRPの超音波減衰特性の理論モデルによる解析結果を測定結果と比較 根討した．その結果、一方向CFRPの縦波，横波減衰係数の周波数依存性．繊維含有率依存性の定性的傾向が理論モデルにより説明できることを確認した。 理論解析においてモデリングをさらに検討することにより，定量的な対応はより向上すると期待される．　以上の結果を踏まえて．種々の損傷．劣化を生じたサンプルについて減衰特件の変化を調べ．減衰特性を音速と相補的に利用した材料評価法を検討することが今後の課題である。 　 本研究に際して，三菱レイヨン㈱商品開発研究所にはサンプルをご提供いただくなど多くの便宜をおはかり頂いた。 また，本研究は著者の一人（S.B.）に与えられた科学研究費補助金（奨励研究A）の援助を受けている。 これらのご支援に対して深く感謝する.