トポグラフイ破面解析による高強度綱の内部疲労き裂発生·進展機構に関する研究

摘要

高強度鋼の超長寿命城の疲労で観察される内部き裂の発生·進展機構を明らかにすることを目的として，高炭素クロム軸受鋼の疲労試駿から得られた内部き裂発生型疲労破面で，介在物周囲に粒状の粗い領域（GBF領域）を有する破面とそれを有しない破面のFRASTA解析およびSEMとSPMによる詳細観察を行った結果．以下の結論を得た．（1）FRASTA解析の結乳長寿命城のGBF領域を有する内部き裂発生型疲労破壊では非金属介在物近傍に多数の微小き裂が離散的に発生し、それらの成長·連結にょってGBF領域が形成され、その後，GBFから放射状に連続してき裂が進展することによりフィッシュ·アイ領域が形成されることが示された．一方，GBF領域を有しない内部き裂発生型疲労破面の場合，内部の非金属介在物の界面からき裂が発生し、連続的に進展していくことが示された。 （2）GBF領域にはその外側領域に比較して高濃度の炭素が検出された．GBF領域の大きな凹凸は球状炭化物とその離脱による穴により形成されるものであることが推察された．（3）GBF領域は，非金属介在物近傍の球状炭化物が疲労過程中に組織から離散的にはく離し．それらが微小き裂となり，成長·連結することによって形成されるものである．GBF領域形成モデルとして「微細炭化物の離散はく離説」を提案した。 最後に，本研究を行うにあたり協力を得た富山大学工学部技官·友板敏信氏．ならびに学生·二村 優君に謝意を表す．また，本研究は科学研究費補助金（基盤研究（C）課題番号12650077）を得て実施したものであり,関係各位に謝意を表す．