ォゥトウの結実に対する 開花期の温度条件の影響: 品種、遭遇温度の胚珠退化に対する影響

摘要

近年、「例年と異なる」とされる気象現象が報じられることが増加しており、農作物の生産に大きな影響を及ぼしている。果樹生産では、果実を得るための最も重要な過程として結実があるが、様々な果樹で結実を不安定化させる要因が知られている。そのなかで、モモや、スモモ、ォゥトウなどでは開花期の高温により、胚珠の退化が起こるとされている。けれども、胚珠の退化に影響する温度域や高温に対する感受性の品種間差について明らかになっていない。今回紹介したい報告は、「佐藤錦」、「高砂」、「紅秀峰」および「甲斐ォゥ果1」について、遭遇温度や高温遭遇時間が胚珠の発育に及ぼす影響を調べたものである(文献)。著者の富田らは、ポット植えの5年生樹を各品種3樹ずつ用いて、5-8分咲きになつた時期に人工気象室に入れて、温度処理を行った。温度条件の検討をする実験では、22degC、 25degC、 85degcおよび31degcに5時間遭遇させ、それ以外の時間は昼間20degc .夜間17degcとし、20degc以上の温度に遭遇させない条件で栽培している。処理日当日に開花した花を1日おきに採取して、顕微鏡観察のための固定液であるFAA液に入れ保存した。花は調査日当たり15-17個採取し3反復している。そして固定された花について、徒手切片を作成し、ァニリンブル—で染色し、蛍光顕微鏡で胚珠の形態を観察した。