温暖化に対応した乾シィタケ栽培技術

摘要

乾シィタケは、クヌギやコナラ等を用いた原木栽培で生産され、中山間地域の貴重な収入源である。しかし、乾シィタケ原木栽培は、植菌からシィタケの採取までの期間が長く、気象や環境条件による影響を大きく受ける。近年秋期の気温低下は遅く、冬の気温は高く、春期の気温上昇が早い傾向、すなわち暖冬傾向に見舞われ、生産者は品種の選定や発生操作の実施時期や方法に苦慮している。品種の選定には、発生量や品質に加えて、発生時期が重要な因子である。大分県では、秋期と春期に分散発生する中温性品種の使用割合が徐々に高くなつたが、秋期に採取したシィタケの菌傘は薄く、菌柄は長いため商品としての評価は低い。また、春期の採取は植菌作業の時期と重なり、集中発生すると適期採取が困難になる年もある。暖冬傾向とはいえ、冬期の低温や乾燥条件はシィタケ子実体の生育には厳しく、採取に至らないものも見られる。そこで一部の生産者は、ほだ木をビニルで被覆することで冬期にシィタケを採取する方法を実践しているが、実施時期や方法は確立されているとは言えず、数値デiタによる効果の検証が必要と考えた。今回は、中低温性品種(「ゆう次郎」(森産業)、「240」(菌興))を植菌した発生1年目のほだ木を用い、人工ほだ場においてビニル被覆試験を行った結果を紹介する。なお、対照区は散水を行わず、ビニル被覆区は適宜散水(強度：20mm/sh)を実施した。また、秋期は10-11月、冬期は12-2月、春期は3-4月とした。