スイートコーン

摘要

夏になると私の田舎では「四万八千日」とか「やくつさま」とか言われた、いくつかの恒例の祭礼があった。 山車が出たり御神輿が出たりする、いわゆる秋祭りといわれる大きなお祭りとは別の、境内に入る短い参道の両側に、夜店が並ぶだけの小さな祭礼である。 夜店で売っているものは、綿菓子であり、しよう油で煮しめたイカの足、飴細工、水素でふくらませながら売る風船、お面や金魚すくいなど、いつも決まったものであったが、のりの強くきいた浴衣に、おろしたての下駄をはいて、祖母に連れられて、一つひとつをのぞいて歩いた。 そhなとき、どこからともなく、しょう油のこげた香ばしいにおいがしてくる。 トウモロコシのつけ焼きである。