リハビリテーションの真の意義

摘要

私が長野県の鹿教湯に温泉病院を作ろうと思い立ったのは、昭和二十九年のころである。終戦後になって、長野県のどの温泉でも、繁盛したのはいいが、芸者が入って遊興の巷になってしまうところが多かったのである。 その中で、鹿教湯温泉は、長野県の三才山峠のいわばひなびた仙境で、古来「中気」に特効のあるという噂の元に、半身不随の老人たちだけが集まるという特徴を持った温泉場であった。私がそこに温泉療養専門の病院を作ろうと思いつたのは、そういう周囲のいい環境もあったか、当時信州大学の内科の大島良雄教授が温泉学の権威として、ここの温泉を推薦されていたこともあった。 昔の百姓の古い「湯治場」のかたちを、近代医学の温泉学の発展の中から、新しい施設にしたい。 できたら、私の所属する農協（今のJA）の組織の中で、それを農村の中に、推進させたいという望みもあった。