健常人ドナーにおける高用量G－CSF投与の影響と末梢血造血幹細胞動員および採取効率に関する因子の検討

摘要

末梢血造血幹細胞移植は，骨髄移植に比べ移植後の造血細胞が速やかであること，幹細胞採取に全身麻酔を必要としないなどの利点があり，近年盛hに行われている治療法である。 しかしながら，健常人ドナーに対する高用量G－CSFの影響，副作用およびpoor mobilization例の特徴はあまり知られていない。このたび，われわれは健常人ドナー30人に対して高用量G－CSFを投与し，その影響，副作用およびpoor mobilization例に関する因子を検討した。 高用量G－CSFの副作用として，骨痛，発熱および頭痛が高率に認められたが，重篤な副作用は認められなかった。 血液検査では，白血球および網状赤血球の上昇，赤血球および血小板の減少が認められ，生化学検査ではLDH，CRP，ALPおよびUAの上昇が認められた。 高用量rHuG-CSF投与を受け末梢血造血幹細胞動員および採取を行った30例の健常人ドナーのうち8例（27％）がpoor mobilizationであった。 学変量解析では，50歳以上の症例およびG－CSF投与前のリンパ球数の多い症例において，有意にpoor mobilization例が多かった。 また，統計学的に有意でないものの，G－CSF 1日1回投与群においてpoor mobilization例が多い傾向が認められた。 多変量解析では，統計学的に有意でないもののG-CSF 1日1回投与群においてのみに，poor mobilization例が多い傾向が認められた（p＝0.089）。 今回，われわれの検討では症例数が少ないにもかかわらず，G－CSF 1日2回投与群において造血幹細胞の動員採取効率が良好である傾向が認められ，今後，症例の集積検討が必要であると思われた。 Allogeneic hematopoietic stem cell transplantation is an effective treatment for hematological malignancies. Peripheral blood stem cells (PBSCs) are increasingly used as an alternative to bone marrow for allogeneic transplantation,. However, predictive factors for the response to recombinant human granulocyte stimulating factor (rHuG-CSF) in healthy donors have not been extensively studied, We analyzed the side effects, laboratory test results after administration of rHuG-CSF and the factors influencing mobilization of peripheral blood stem cells in 30 healthy donors.