抜去可能なカテーテルを用いた肝動注化学療法の評価と今後の位置付け

摘要

WSカテーテルを使用した肝動注化学療法の有用性を検証した。対象は62例で，大腸癌肝転移42例(切除後予防動注26例，切除不能16例)，その他20例であった。肝動脈径が細い5例を除く 57症例で簡便な「投げ込み法」で留置することができた。そのうち32例で留置後2.3?20.5か月目に抜去を試みたが，全例で容易に抜去可能であった。MDCTによる肝動脈形態の追跡で3.3 Fr使用の20例では2例(肝動脈狭窄)を除いて変化を認めず，開存性は良好に保たれていた。先端部に形状記憶コィルを埋め込hだWSカテーテルは，血管壁にコィル固定することなしに安定した留置が得られ，後に抜去することも可能である。近年，全身化学療法の進歩が著しぐ侵襲的な治療である肝動注は役割の見直しを余儀なくされており，今後は対象を限定した上で簡便な方法で短い治療期間で実施することが望ましいと思われる。