原究性小腸癌の臨床病理学的検討

摘要

2011年6月?2019年1月までに当科で手術を行つた原発性小腸癌7例において，臨床病理学的特徴および予後につ いてretrospectiveに分析した。平均年齢62.9歳，男女比4 :3，有症状5例(71.4%)で，術前正診率28.6%であった。平 均腫瘍径5.3 cmで，切除腸管長中央値は25 cmであった。術後病理診断では分化型5例で，pStage nA 3例，pStage EB 3 例，pStage m A1例であった。再発は4例に認め，再発形式は局所2例，リンノヽ"節1例，肺転移1例で，生存期間中央値は 24.5か月であった。生存例では腸管切除長が長く，すべて辺縁動脈を越えた腸間膜リンパ節郭清が施行されていた。一方， 死亡例では高齢，未分化，Iy2/ly3, N1であり，再発例ではリンパ節転移，低分化，Iy2/ly3のいずれかの因子が陽性であつ た。原発性小腸癌では，十分な切除マージンの確保と腸間膜リンパ節郭清を行うことで予後に寄与する可能性がある。