Stage IV潜在性乳癌の2例

摘要

症例1は62歳，女性。有痛性の左腋窩リンパ節腫脹を自覚し，当院を受診した。炎症性腫瘤と考え抗生剤加療を行つ たが，6か月後多発肺結節影が明暸化し，転移性肺腫瘍を疑った。生検で乳癌由来が疑われたが乳腺に異常所見を認めず， Stage IV潜在性乳癌と診断した。letrozoleを開始し，20か月健在である。症例2は62歳，女性。背部痛を自覚し，当院を受 診した。CT検査で多発溶骨性変化と左腋窩リンパ節腫脹を認めた。両者の生検で乳癌由来が疑われたが乳腺に異常所見を 認めず，Stage IV潜在性乳癌と診断した。fulvestrant, denosumabを開始したが，6か月後本人の希望により治療を中止して いる。Stage IV潜在性乳癌の治療方針について文献的考察を加えて報告する。