膵癌の補助療法

摘要

膵癌で唯一，治癒が望める治療は外科切除であるが，術後の高率な再発などのため，その成績は切除症例の3年生存率が23．2％と到底，満足のいくものではない。これまで，拡大リンパ節郭清による成績の向上を目指した試みが行われてきたが，このような方法では生存期間の延長に寄与することなく，むしろ術後の合併症率やQOLを悪化させることが示され，手術手技の改良による外科切除後の成績の向上には限界がある。そこで，外科切除の前後に化学療法や放射線療法を組み合わせる術前，術後補助療法による成績の向上が試みられてきた。本稿では，これまでの大規模臨床試験を中心に最新のトピックスを加え，膵癌術前術後補助化学療法について解説する。