Borderline resectable膵癌の術後補助療法をどうするか？切除可能膵癌との違いは？

摘要

Borderline resectable膵癌は，局所の浸潤により外科的切除を施行しても高率に癌が 遺残し，切除による生存期間延長効果を得ることができない可能性がある病態である。Borderline resectable 例で は， 術後補助療法を行うとすると，前提として抗腫瘍効果の高い術前 治療が行われ，さらに切除手術を実施した後となる。したがって，切除可能例に比べ術後補助 療法の安全性ゃ忍容性の評価がより重要となる。術後補助療法は一般に切除不能例に対して有 効な治療法が用いられることが多いが，大腸癌の例をみても切除不能に有効な治療が必ずしも 術後補助療法で有効とは限らない。つまり，有効性だけでなく安全性も考慮した開発が必要で ある。Borderline resectable膵癌での術後補助療法はより長期生存を得るためには必要と考 えられるが，その有効性と安全性になhらェビデンスのない状況である。Borderline resectable という概念が定着しつつあり，borderline resectableのみを対象とした前向きな臨床試 験も可能となっている。術前治療の有効性評価と同時に術後補助療法が果たして必要か否か， 行うとすればどの程度の治療法が適当か，慎重に検討を進めていく必要がある。