無治療で縮小を認めた肺カルチノィドの1例

摘要

症例は65歳，女性。糖尿病の血糖コントロールが悪化したため，201X年6月当院糖尿病内科に紹介となった。初診 時の胸部単純X線撮影にて肺野に異常陰影を指摘，さらにCT上で右S10に2 cm大の結節を認めた。progastrin-releasing peptide (ProGRP)が高値であり，喫煙歴があることから肺癌の疑いにて当科紹介となった。気管支鏡検査にてカルチノィ ドと診断されたが，無治療にもかかわらず1か月後のCTで結節は縮小しProGRPも低下した。さらに1か月後，結節のサ ィズは著変なかったがProGRP力"救増しており，血糖値も改善したため胸腔鏡補助下右肺下葉切除術を施行した。定型的力 ルチノィドと確定診断された。周囲との境界は明瞭で壊死組織や周囲に炎症像は認められなかった。カルチノィドは低悪性 度の腫瘍であり通常自然退縮は期待できないとされているが,今回われわれは自然縮小したカルチノイドの1例を経験し た。