介護保険主治医意見書記載の援助策としての問診票システムの試み

摘要

【背景】介護保険の介護認定審査においては主治医意見書は重要な判断基準の一つであるが，主治医にとっては記載が困難な項目も多いことや，主治医意見書記載医が一部の医師の負担になっていることなどを2001年に幸絶した。 そこで，地域の関連部署と協議し，介護保険申請の時に問診票を家族に渡し，記入後主治医に提出するという問診票システムを考案し試行したので現状を報告する。 痉椒ā恳羷菰幸綆熁幛葨|海大学病院勤務医の127名を対象とし自記式郵送式によるアンケート調査を行った。内容は主治医意見書記載数，そのうち問診票も同時に提出された意見書数，問診票の記載時間の変化·信頼性·必要性，問診票の項目のなかで役立った項目（身長·体重，寝たきり度，痴呆度，短期記憶，認知能力，意志の伝達，食事，幻視·幻聴など）である。 【結果】回答があったのは66名（52％）であった。 問診票の添付率は約34％であった。 主治医意見書記載時間は，「かなり短くなった」と「少し短くなった」を合わせて半数であり，意見書の信頼性は「かなり高くなった」，「少し高くなった」を合わせて約60％であった0また，問診票の必要性は「かなり必要性がある」，「少し必要性がある」を合わせて約80％と高率であった。 問診票が役立った項目としては，痴呆度（71％），寝たきり度（67％），介護への抵抗（42％），身長·体重，認知能力，食事,昼夜逆転，火の不始末（以上，38％）などであった。 【考察】主治医意見書には記載困難な項目も少なくないため，その信頼性に疑問が生じる場合もある。問診票システムは主治医意見書記載において有効性の高いシステムであるが，記載率が低いことが問題点として判明した。 今後さらに，介護保険申請窓口で問診票への記載を呼びかけたり，介護支援専門員に主治医意見書の重要性を認識してもらうことを検討している。