欧州の地球温暖化対策の戦略と日本へのインプリケーション

摘要

京都議定書の発効に関して，ロシアの批准可否や時期など不確実性が残っている中で，欧州ではその目標達成に向けた取り組みの検討·導入が行われている。1990年代に入って北欧諸国が温暖化対策税を導入したのを皮切りに，京都会議以降は温暖化対策税採用国の拡大と京都メカニズムの活用や国内における排出量取引制度の検討や試行，そして具体的な対策として採用する国が出現してきている。 こうした中で，2005年からはEU域内の排出量取引制度が導入される予定である。制度の具体的内容が明らかになるにつれ，この制度導入に伴って欧州各国の温暖化関連施策や欧州以外の国が京都メカニズムを活用する際にも，何らかの影響がでる可能性が高まってきている。 そこで本報告では，欧州地域における温暖化対策の系譜や背景，そして今後の方向性について整理·分析を行いつつ，欧州の温暖化対策の戦略を考慮した際の日本としての検討課題の抽出を試みる。