環境に貢献するエポキシ樹脂の技術開発

摘要

エポキシ樹脂は，接着性，絶縁性，耐熱性，耐水性，作業性，コストなどに優れているために，塗料，接着剤，複合材などの分野からプリント配線板材料，半導体封止材料などの電気·電子材料分野にまで幅広く使用されている。その中でも，特に電気·電子材料分野においては材料に求められる特性が時代の流れとともに高度化している。近年の電気·電子材料分野において，材料に求められる特性の特徴は，電気信号の高速化，小型·薄型化を実現する高密度実装を実現するための諸物性（耐湿性，接着性，高流動性，低誘電率など）の向上に加えて，環境面を意識した性能の向上という点にある。環境面に関連している具体的な流れとしては，電気·電子部品の接合に用いられる半田から鉛を除去した鉛フリー半田の使用や，燃焼時に有害物質の発生の可能性があるとされるハロゲン系難燃剤を忌避する傾向の拡大などが挙げられる。また，近年，伸展が著しい半導体発光素子·太陽電池·薄型表示装置等の光学モジュールの封止材·接着剤·塗膜には，優れた透明性，耐光性，耐候性が求められている。