(S257)前冷間加工したNi 基合金の引張変形時の転位運動の加工度による差異

摘要

高温腐食環境下における耐食性合金の破壊は主に応力腐食割れにより引き起こされることが多い。応力腐食割れの起点の一つとして提案されているのが、局所的生じた塑性変形による耐食性不動態皮膜の破壊モデルである[1]。この破壊起点モデルによると、個々の結晶粒内で生じる転位運動と、その結果表面に形成されるすべり線の起伏の状態が合金の耐応力腐食割れ性の優劣の理解に非常に重要であることになる。過去のすべり線の凹凸に関する研究では[2]、原子間力顕微鏡と電子線後方散乱回折（EBSD）の組合せにより、2 相ステンレス鋼において引張変形時に活性化されたのすべり系の同定と運動転位数の推定に成功している。本検討では、Ni 基合金における前冷間加工の転位運動に与える影響を明らかにすることを目的として、原子間力に代えて幅広い領域を測定できる3 次元電子線粗さ測定機を用い、複数の粒の転位運動の測定を行った。