( S096) 大規模分子動力学法シミュレーションによる凝固組織生成過程の考察

摘要

組織形成過程の理解のために，モンテカルロ(MD)法やフェーズフィールド法などのメソスケール手法に加え，近年， 分子動力学(MD)法による原子レベルでの理解が試みられている． 著者らはこれまでにFinnis-Sinclair(FS)ポテンシャルを用いた古典MD 法解析コードをCUDA によりGPU へ実装し[1]，100 万原子程度の擬二次元セルを用いた大規模MD 法により，過冷融液からの凝固核異方性発現過程[2]や，均質核生成および凝固·粒成長過程の解析[3]を行ってきた．本発表ではさらに原子数を増やし，約1200 万原子程度の一辺約50 nm の立方体セルを用いた大規模計算により，過冷融液からの均質核生成およびこれに続く凝固·粒成長過程の解析を行った．さらに凝固·粒成長過程の原子位置情報のみからAvrami 指数や粒成長指数を直接導出することに成功した．ここでは原子論から求めた物性値と従来の古典理論との対応を議論したい．