(S290)鉄鋼材料の物性に及ぼす置換型元素の影響の第一原理計算

摘要

軸比(c/a)は材料特性に影響を与える。例えば鉄系形状記憶合金においては軸比の増大とともに形状記憶特性は向上する[1]。また機械的性質も軸比によって影響を受けることが予想される。また、軸比は合金元素の添加により変化する。例えばFe-C(bcc 相)にNi やAl を添加すると軸比は増大する。我々はこれまで第一原理計算により、Fe-C 合金では軸比の計算値は実測値とよく一致する[2]こと、Ni やAl 添加により軸比は増大する[2]ことなどを報告した。合金元素の添加により軸比が変化するメカニズムを解明するには、侵入型の元素を含まず、置換型の元素のみを含む場合の格子定数の変化とその原因を明らかにする必要がある。また、NIMS で開発された耐食性に優れたFe-0.6Al-0.6Si-1.5Mn (mass%)鋼においてAl とSi が果たす役割を明らかにするため、bcc-Fe にAl やSi を添加した場合に格子定数や磁気モーメントなどの物性がどのように変化するかを第一原理計算により求めた。さらに比較のためにAl とSi 以外のいくつかの元素についても計算を行った。