(S047-1)高圧水素ガス中における高窒素高強度ステンレス鋼の機械的特性

摘要

燃料電池自動車や水素ステーションの配管、容器など高圧水素ガス中で使用される機器の安全性を確保するためには、この環境下における材料特性を明らかにした上で、適切な材料選択と強度設計を行う必要がある。これまでに著者らは基礎検討として、最高90MPa の高圧水素ガス中の低ひずみ速度引張試験と外圧疲労試験、または高圧水素ガス曝露処理で水素を吸収させた材料の引張試験や疲労試験を行い、ステンレス鋼など各種材料の耐水素環境脆化特性と疲労特性を評価している。今後、水素圧の高圧化に伴う配管などの各種機器が厚肉化し流量の確保が困難になることが予想されることから、 SUS316L やA6061-T6 など例示基準化されている既存鋼のみならず、高圧水素環境下で材料特性が劣化しない高強度鋼が必要不可欠である。本報では、N 添加により高強度化したオーステナイト系ステンレス鋼を対象に高圧水素ガス中においてSlowstrain rate tensile test (SSRT)および疲労試験を実施し、高圧水素ガス中における水素脆化特性および疲労特性を評価した。