(PS163)HPT 加工により作製したサブミクロン結晶粒極低炭素鋼における窒素固溶による腐食特性の変化

摘要

HPT（High Pressure Torsion）加工は巨大ひずみ加工の一種であり、試料の形状を変化させることなく大きなひずみ量を付与することができる。巨大ひずみ加工によって高密度の格子欠陥が導入され、組織微細化が起こることで機械的特性が向上する。一方で、格子欠陥の存在（組織微細化による結晶粒界の増加など）は耐食性の低下を招くと考えられる。窒素（N）は鉄鋼材料において機械的強度および耐食性の向上のために添加される。N添加鋼に孔食が発生するとNが溶液中に溶け出し、アンモニアを形成することによって孔食を抑制すると考えられている。このことから、腐食の起点となる格子欠陥を増やすことでNの溶出を制御できることが示唆される。