改訂ASTM E1290 と現行BS7448 のCTOD 算定値の関係

摘要

き裂先端開口変位(Crack Tip Opening Displacement, CTOD, 記号δ_(el)による材料の破壊特性算定法は，弾性成分δ_(el) は応力拡大係数K からの換算，塑性成分δ_(pl) は塑性ヒンジモデルによるクリップゲージ変位V_g からの換算が英国BS 規格1)で規定されている．同様のCTOD 算定法は米国ASTM 旧規格2)や日本WES 規格3)でも採用され，破壊指標として広く用いられている．ところが2002 年にASTM E1290 が改訂され，ここではCTOD がJ 積分から換算されるようになった4)．CTOD の定義が主要な試験規格において異なることは，CTOD要求値を設定する者やその要求値に応じて鋼材を供給する者に誤解や混乱をもたらす可能性があり，異なる算定法がもたらすCTOD の差異を明確にする必要がある．また，一方の規格のCTOD 値から他方の規格のCTOD 値に換算可能となれば，実用上，役立つであろう．