高クロム鋼の時効に伴う靭性低下に及ぼすLaves相構成元素の影響

摘要

高クロム鋼の高速炉構造材への適用に当たっては、延性と靭性の改善、およびそれら特性の長時間にわたる維持が求められる。 高クロム鋼の主要添加元素であるタングステンとモリブデンは、ともに長時間の時効によって、材料の延性と靭性を劣化させるLaves相を形成する。 本研究では、タングステンとモリブデンの添加量が異なる3種類の12Cr銅を対象に、長時間熱時効におけるLaves相の析出挙動を定量的に評価するとともに、Laves相の構成元素を特定したうえで、衝撃特性の変化に及ぼすLaves相析出量のLaves相構成元素依存性について考察した。 さらに、これらの結果を踏まえ、高速炉用高クロム鋼仕様絞込みの方向性について検討した。