溶湯流動下における凝固組織形成のPhase-field シミュレーション

摘要

連続鋳造をはじめとする凝固プロセスでは、様々な要因により引き起こされる溶湯流動の下で凝届組織の形成が進行している。 溶湯流動は、鋳塊凝固におけるマクロ偏析の発生や分断遊離現象による等軸晶形成など凝固組織形成に大きく関わっており、連続鋳造における電磁撹拌は溶湯流動を組織制御のために積極的に用いている例である。 普通鋳造でも凝固は鋳込み流、熱対流などの溶湯流動下で起こっており、溶湯流動を伴わないで凝固が進行することは極めて少ないと思われる。 また、ミクロ組織形成においてデンドライトの成長方向が流れの上流側へ偏向することはよく知られており、デンドライト偏向現象に関する研究報告も数多くなされている。著者らも、単一デンドライトの偏向現象に注目しPhase－field 法を用いた解析結果から、その偏向メカニズムについて検討した。 しかし、溶湯流動下で複数のデンドライトが成長する場合の組織形成は未だに明確ではない。 そこで、本研究では、溶湯流動下で起こる凝固組織形成についてPhase-field 法を用いたシミュレーションを行い検討した。