注腸X線検査による大腸癌の深達度診断

摘要

我が国における大腸内視鏡検査の進歩により， 陥凹型を代表とする表面型腫瘍の診断が世界的 に確立され，こうした病変の多くが日常的に内 視鏡的で治療される時代となった.また最近では新しい診断法であるCT colongraphy(CTC) が登場し，大腸検査における注腸X線検査の地 位は益々低くなり，不要論まで真剣に論議され るようになった.しかし，いまだ全国的に広く 行われている大腸検査法であり，検査精度の維 持と向上は重要である.表面型腫瘍の診断では 大腸内視鏡検査に及ばないが，大腸の全体像や 病変の位置同定に優れるため，依然として術前 診断では必要な検査法である.さらに炎症性腸 疾患の精査や治療経過における病変の評価に有 用である.また大腸癌病変の側面変形から深達 度評価ができるという，大腸内視鏡にはない利点をもつ.