家庭用燃料電池エネファーム市場確立

摘要

総合エネ調基本政策分科会では、水素エネルギーを利用した燃料電池について審議しているが、大別すると定置用燃料電池と燃料自動車（水素ステーション）に分けられる。燃料電池の最大の特長は、その効率の良さである。燃料電池は、燃料である水素と、空気中の酸素を電気化学反応させて電気と熱を発生させるシステムであり、反応物としては水しか排出せずクリーンであり、化学反応から直接エネルギーを取り出すためエネルギーロスが少ない。電気と熱両方を有効利用することで、更にエネルギー効率を高めることが可能である。家庭用の定置用燃料電池（エネファーム）については、1981年からの大規模な研究開発、2005年からの大規模な実証を経て、2009年に世界に先駆けて販売を開始した。エネファームの販売価格は、2009年の販売開始時には300万円超であったが、現在は200万円を切るところまで着実に低下している。これまでに5万4千台以上が普及している（本年9月末現在）。エネファーム関連企業から成るエネファームパートナーズにおいては、2016年に市場を自立化し、2020年に140万台、2030年に530万台（全世帯の約1割）を普及させることを目標としている。エネファームが530万台普及すると、エネルギー消費の増加が著しい家庭部門におけるエネルギー消費量を約3％削減、CO2排出量を約4％（年間約700万トン）削減するとの試算もある（割合は2011年度比）。2016年の市場自立化に当たっては、一般的な給湯器と比較しても価格兢争力を有する70～80万円程度までコストダウンすることが必要である。このため、より一層の低コスト化が必要であり、市場自立化に向けては、初期需要の創出、市場の拡大、燃料電池の低コスト化、周辺機舘の低コスト化の取り組みを加速化させることが必要となる。エネファームより容量の大きい業務用·産業用燃料電池については、店舗、病院、ビル、工場などでの利用を目指して、耐久性や信頼性向上等に向けて技術開発を行なっているところであり、引き続き実用化に向けて着実に支援を行なうことが必要である。また、業務用·産業用燃料電池については、大量に発生する熱を如何に有効に活用できるかが鍵となる。