住民が不安がる福島原発事故の実態とは—事故後3力月間の電話相談から

摘要

2011年3月11日発生の東日本巨大地震に引き 続き，3月12日には東京電力福島第1原子力発電 所の爆発事故が発生した.この事故はチヱルノブ ィリ原発事故と同レベルの国際原子力事故評価尺 度レベル7(深刻な事故）とされ，37-63京ベタ レルというきわめて大量の放射性物質力放出され た（京は1兆の1万倍).事故当時，正確で詳細 な情報がなく，発表内容には専門用語が多く，一 般大衆は理解に苦しみ,不安と不信感のみが増強 された.その結果パニックに陥った住民，とりわ け妊婦や乳幼児を育児中の方々に妊娠中絶や理論 的でない誤った育児や転居などがみられ始めた. 筆者は遺伝学と放射線生物学の最低限の知識をも つ小児科医として，急きょ認定NPO 「難病のこど も支援全国ネットワーク」事務局で週1回「妊婦 及び乳幼児育児中の保護者」を対象とした電話相 談を事故後3力月間実施した.ここに相談の内容 を紹介し，相談を通してみえてきた問題点を述べ てみたい.