はじめに

摘要

ウイルス感染症には細菌に対する抗生物質のような特効薬はない．抗生物質は細菌特有の仕組みを選択的に阻害する.これに対してウイルスは宿主を乗っ取って，その機構を利用して増殖するため，ウイルスと宿主を識別することがきわめて困難であるためである．ウイルス特異的な抗ウイルス薬は開発されても，ほとんどはそのウイルスに対して選択的に効果があるのみである．また，ウイルスの遺伝子は変異しやすいため，耐性ウイルスが出現する宿命にある．耐性の問題は抗生物質にも共通した課題である．インターフェロンという物質が発見されて50年以上が経過した．