保健医療の質指標

摘要

保健医療の評価指標には，幾つかの階層とアプローチがある．マクロでは国レベルで国際的に比較される保健指標，例えば平均寿命や乳児死亡率，各種疾病曜患率等がある．また登録制度の充実にょって，がん生存率や脳血管障害，循環器疾患の死亡率についても国や地域レベルで比較可能な指標となりつつある．同時に，これらの指標が自国の保健医療制度やインフラに大きく左右されることから，保健医療資源や財源，一人あたりの保健医療支出，国内総生産（GDP），医薬品支出等も併せて評価される動きにある．医療現場においては，個々人が受ける診療を評価するミクロの視点で，医師が患者の転帰をカルテ上に記入するが，これも一定の診断基準に基づく一定の診療行為を経てはじめて比較可能なアウトカムとなり，臨床指標（clinical indicator）として整備されることになる．