家庭用燃料電池エネファームの普及に向けた課題

摘要

2008年，京都議定書の第一約束期間が始まった．日本国内でも温暖化ガス（温室効果ガス）削減の取り組みが本格化している．しかしながら，同じく一昨年11月，環境省が発表した2007年度の温室効果ガス排出量速報値によると，2007年度の温暖化ガス総排出量は13億7100万tで，2006年度の13億4千万tと比較して，2.3％増加している．特に家庭用部門のCO_2は2006年度に比較して，8.4％の伸びを示しており，基準年との比較では41.2％の増加となっている．そんな中，「世界全体の温室効果ガス排出量を現状に比して2050年までに半減する」という長期目標のもと，「Cool Earth－エネルギこ革新技術計画」が経済産業省より公表された．これは2050年に向けわが国として重点的に取り組むべき技術を特定し，長期にわたる技術ロードマップを提示したものである．いわゆる家庭用に開発が進んでいる，定置用燃料電池はこの重点的に取り組むべきエネルギー革新技術の一つである．ここでは，今年度から一般販売が始まった，定置用燃料電池の普及に向けた課題と取り組みについて概説する．