電力会社における電力貯蔵への取り組み－(1)NAS電池による電力貯蔵システム適用例

摘要

電力は貯めることができないため，電力会社は常に夏場昼間などの最大需要に備えて発電所や送配電設備を構築していかなければならなかった．もし夜間の幾分余裕のある電力を貯蔵し，昼間にそれを放出して使用することができれば，電力設備の効率的運用が可能となるとともに発電·送配電設備への投資が抑制され，結果として電気料金低減が可能となるわけである．このため電気を貯める技術については電力技術者の長年の夢として取り細まれてきた．国や電力会社ではその切り札として，電気を電気（化学エネルギー）として貯める電力貯蔵用電池の開発を行ってきたが，ここでは既に電力会社での活用だけでなく，一般の需要家への導入も進みつつあるナトリウム·硫黄電池（以下，NAS電池）について，電池の原理·構造やこれまでの開発の経緯，そして最新の導入事例等を紹介する．