実測に基づく住宅用エネルギー消費情報提供システムによる省エネルギー効果

摘要

地球温暖化問題を始めとする様々な環境問題の解決のため，将来のエネルギー需要の伸びの抑制が強く望まれている．とくに近年では，民生部門におけるエネルギー需要の削減が重要な課題として認識されており，家庭部門においても省エネルギーをいかに行うかについて真摯に取り組む必要がある．家庭部門における省エネルギーにはまず住宅の性能向上，エネルギー消費機器の効率向上や省エネ制御等が考えられ，近年では個々の機器の制御のみでなく，家庭内ネットワークを用いて世帯全体のエネルギーの管理を行うHEMSやECHONETといった新しいシステムも登場しており，今後の省エネ方策として期待されている．一方，住宅における省エネルギー手法の一つとして，世帯員の省エネ行動による省エネルギーも注目に値する．この方面の研究としてはアンケート調査により省エネ行動と省エネルギー効果の関係について評価した研究や，シミュレーション分析に基づき省エネ行動による省エネポテンシヤルについて分析を行った研究等がある．しかしこれらの研究では，省エネ行動がいかに誘発できるか，またそれによりどのようにエネルギー消費量が変化するかについて実測に基づいた検証はされていない．そこで本研究では，エネルギー消費量の計測を行い，その結果を世帯員に提示することにより世帯員の省エネ行動を誘発し，それによるエネルギー消費量の変化についての分析を行うこととした．