人工股関節全置換術における形態的定量情報に基づく大腿骨インプラント3次元計画立案－髄腔アキシャル断面像の主軸解析による前捻角推定

摘要

我々は，変形した股関節を人工関節部品（インプラント）に置換する人工股関節全置換術において，熟練専門医による基準の分析·定式化によって大腿骨側インプラント（ステム）の3次元手術計画を自動立案するシステムの開発を行っている．以前，ステムの固定性を最大化する計画立案基準を報告したが，Z軸周り回転角（前捻角）誤差が大きくなる問題があった．今回，専門医が髄腔アキシャル断面の楕円領域主軸とステムネック軸を原則的に一致させていることに着目し，投影した形状に対する主軸推定を用いて前捻角を推定したところ，7症例中5症例で誤差が2.6度以内となり受け入れ可能な結果を得た．このことからステム位置·角度（6自由度）を決定可能なシステムとして一定の性能を示したと考える．