高速道路における不法侵入者検知システム導入について

摘要

平成25年5月25日に供用した阪神高速道路2号淀川左岸線（I期）（以下、淀川左岸線）の正連寺川トンネルは、全区間が開削工法で構築された延長3，569m（ストラット区間250m含む）の都市内長大トンネルである。坑口付近の縦断勾配は急であり、S字状の急カーブやランプ分合流部がトンネル内に存在する。このように閉塞された空間が長く続き、かつ線形が厳しいことから、トンネル内の交通安全対策を立案する際には、明かり部と比較して、特別な配慮が必要であった。また、近年、高速道路の入出路において不法に、もしくは誤って侵入する歩行者や自転車、逆走車等が問題となっており、淀川左岸線においては街路から下り勾配で入出路に進入し、すぐにトンネル構造となるため、明かり部の路線と比較して、歩行者や自転車が進入しやすく、かつ退出しにくいというトンネル構造上の特性を考慮した安全対策や料金所無人化に伴う不法侵入者·誤侵入者や逆走車の自動検知と注意喚起も必要とされていた。このように淀川左岸線においては従来の明かり部の路線と比較し、より充実した交通安全対策を実施すべく、関係機関と協議を進めていく中で様々な検討や実験を行い、新しい技術を取り込んだ交通安全対策（シークエンスデザイン、速度超過車両警告システム、合流支援システム等）を導入している。本稿では、淀川左岸線における多様な交通安全対策の一例として、不法侵入者検知システムに係る種々のセンサ方式及びシステムの検討と導入後の効果検証結果を報告す予。