災害時のリアルタイムな道路情報収集による緊急車両の移動時間最短化手法

摘要

近年，基地局を用いずに車両間で直接通信する車車間通信が注目されており，基地局を介さずにネットワークが構築できるため，災害時での活躍が期待されている．災害時には車を使って避難所へ移動する人が多く，陥没や建物の崩壊などで道路が通行できなくなるなど道路状況が頻繁に変化し，目的地にいち早く到着しなければいけない緊急車両の進行の妨げとなる場合がある．そこで，災害時に緊急車両がスムーズに移動するためには常に最新の道路情報を収集し，動的に経路を決定していく必要がある．本稿では，車車間通信を用い，災害時に緊急車両がリアルタイムに周辺の車両の位置情報·走行履歴を収集し，緊急車両が最も早く目的地に到着する経路を動的に決定する手法を提案する．提案手法では，緊急車両の現在地から目的地までの距離に応じた情報収集範囲を設定し，その範囲内に存在する車両の現在地·走行履歴をマルチホップ通信で緊急車両まで伝え，その情報を元に緊急車両がいち早く目的地に到着する経路を構築する．同様にして各車両の情報を定期的に収集し，常に最新の情報を元に目的地までの経路を動的に決定する．