貴重な電波資源を有効に利活用するための必須知識：電波と電波法

摘要

電波とは周波数3THz (3×10{sup}12Hz)以下，波長でいえば0.1mm以上の電磁波であると定義されています．電磁波とは，直交した電界と磁界が相互に影響しながら進行する波動のことです．電磁波は波長∞から0mまでと極めて範囲が広く，その一部（周波数の低いほう）を「電波」と称していることになります．図1に示すように周波数が高く（波長が短く）なるにしたがって，赤外線，可視光線，紫外線，X線，γガンマ線と名称が変わりますが，基本的性質は同じです．電磁波は，周波数，位相，強度で表される波の性質をもつほか，粒子としての性質ももっています．周波数が低い（波長が長い）電磁波は量子エネルギーが小さいので粒子としての振る舞いは観測できませんが，周波数が高くなると粒子としての振る舞いが顕著になります．粒子のもつエネルギー（量子エネルギー）が大きくなると，分子や原子に当たったときに分子構造を壊したりイオン化させたりします．そのため波長10{sup}(-7)m以下（周波数3PHz以上）の電磁波を「電離放射線」と称して区別しています．赤外線や可視光線，X線も同じ電磁波の一種で，電波より波長が短い領域になります．