実験ライブ·セミナー連動企画特設記事②：高性能なPLL ICで標準的になってきた位相比較器に対応する－チャージ·ポンプと組み合わせるループ·フィルタの設計法

摘要

PLL周波数シンセサイザは，任意の周波数を正確に得られる回路です．(1)二つの発振器を組み合わせた高性能な発振器．単にいろいろな周波数を得たいだけなら，電圧制御発振器(VCO)などの周波数可変の発振器があります．しかし，温度や電源電圧などで周波数が変わってしまうので，通信などの正確な周波数が必要な分野では使えません．逆に，周波数の精度が良い発振器は，周波数を変えることができません．PLLを用いて，精度の良い固定周波数発振器の任意倍になるようにVCOの発振周波数を制御すると，任意の周波数を正確に作ることができます．(2)ハードルの高いループ·フィルタの設計．PLL周波数シンセサイザはいくつかの回路ブロックを組み合わせて作られます．そのなかで設計者を悩ませるのが，ループ·フィルタです．ループ·フィルタは，位相比較器から出力されるパルスからVCOへの制御電圧を作る役割を持ちます．ただし，単純なロー·パス·フィルタでは，PLLが思ったように動作しません．(3)チャージ·ポンプ出力の位相比較器の場合を解説．本稿では，高性能なPLL ICで一般的になったチャージ·ポンプ出力の位相比較器を使った場合のループ·フィルタの設計法を解説します．