GPUクラスタによるFDTD法の高速化と大規模·実問題電磁界シミュレーションへの応用

摘要

本稿では，GPU NVIDIA Tesla K20を64台搭載したGPUクラスタによるFDTD法の高速化と，地中レーダにおける鉄筋探査シミュレーションや仙台市の数値地形モデルを用いた雷放電電磁界解析を例に，GPUクラスタを用いたFDTD法による大規模·実問題シミュレーションの実際について報告する．GPU64台を用いたFDTD法の演算性能は，単精度で6.2 Tflops，倍精度で3.7 Tflopsが得られ，メモリアクセスを考慮した理論性能と比較すると75％程度の演算性能が得られていることを示している．また，実際の大規模解析の例として，計算時間を要する地中レーダシミュレーションや、多くのメモリを必要とする実地形モデルの雷放電電磁界解析において，GPUクラスタを用いることにより，170時間を要していた地中レーダシミュレーションが30分程度で，14時間を要していた雷放電電磁界解析が1分程度で計算できることを示している．