家電機器が発する伝導妨害波の特徴を活用した家電機器の動作状況推定に関する検討

摘要

省エネ意識や電力の安定需要に対するニーズの高まりから，家電機器毎の電力使用量を低コストで可視化できる技術が求められている．本報告では，家電機器の動作時に電源系統に発生する負荷電流とディファレンシャルモードの伝導妨害波を家庭用分電盤において測定し，測定された負荷電流の時間波形の特徴および伝導妨害波の電力スペクトルにおける特徴的な周波数成分を利用して，動作中の家電機器を推定する手法に関する検討を行った．その結果，今回検証に用いた家電機器5機種については，負荷電流の時間波形のサンプリング周波数を500kHzから10kHzにダウンサンプリングした波形を用いて動作状況を推定しても，推定精度に与える影響は1％未満であった．また，最大5機種が同時に動作する72通りの組み合わせに対して，負荷電流の時間波形の特徴から得られる推定結果と伝導妨害波の特徴的な周波数成分から得られる推定結果を論理和により合成したところ，推定精度が3％程度向上することが確認できた．