ピラミッド型電波吸収体から発生する回折波によるサイトVSWRへの影響のシミュレーション計算による検討

摘要

電波暗室の内壁に広く用いられるピラミッド型電波吸収体からの反射波は、その周期長と入射電磁波の波長の関係から高次の回折波を生じることが知られている。本研究グループでは斜入射における高次モード回折波の電磁波シミュレーションによる定量的な解析を行なってきた。一方、測定サイト（電波暗室）の評価方法として、CISPR16-1-4（2.0版2007-02）により、サイトVSWR（SVSWR）法が規定されている。この方法は、電波暗室内において規定の位置において電磁界の強度分布を測定し、その定在波分布から電波暗室の性能を評価するものである。SVSWRについては、測定値に対し様々な要因が影響すると考えられ、周波数ステップ、アンテナ指向性、電波吸収体と床の境界面など、種々の検討が行なわれてきた。また、実際に、特定の電波暗室のSVSWRを測定した報告によれば特定の周波数においてSVSWR性能が低下しているものがみられる。電波吸収体からの回折波の特性を高精度で調べることは、今後、高周波数での電波暗室の解析、設計を行って行く上で重要と考えられる。そこで、本報告では、FDTD法により周期構造のピラミッド型電波吸収体からの反射（散乱）波の空間分布を計算し、サイトVSWRへ高次の回折波が与える影響について検討した。