誘電体グレーティングに挟まれた金属薄膜構造の波長特性

摘要

誘電体グレーティングに挟まれた金属薄膜構造を，有限差分時間領域法を用いて解析する．グレーティングの充填率（周期長に対する高屈折率層の占める割合）を適切に選択することで，任意の偏波を透過させる．はじめに充填率が1の場合，すなわち一様な誘電体層に挟まれた金属薄膜構造を取り上げる．誘電体層内部でフアプリペロー型の共振が生じる波長1.2μmにおいて，偏波によらず入射波の透過する様子を示す．次に充填率を0.5に選んだ場合について検討する．TM波入射時のみ，回折波によって金属と誘電体の界面に表面プラズモンが励起され入射波が金属膜を透過する．結果として，波長1.5～1.75μmの波長帯域において15dB以上の消光比が得られる．最後に，充填率を0.05に選んだ場合について検討する．TE波入射時のみ，波長0.98μm付近でグレーティング内部に共振が生じ，入射波が金属膜を透過する．